イーサリアム上のトークン同士を低コストで交換できるプラットフォームである0x(ゼロエックス)。
コインチェックのNEM流出事件などで注目を集めているDEX(分散型取引所)を簡単に作ることができる機能を持っています。
この記事では0xがどのような仕組みで動いているのか、将来性、購入方法まで詳しく解説していきます。
目次
0x(ZRX/ゼロエックス)を購入するならどの【取引所・販売所】が良い?
2018年5月時点で0x(ZRX)が売買可能な国内の仮想通貨取引所はありません。
0x(ZRX)が購入可能な海外の仮想通貨取引所の中で、購入するのに適した取引所はこの3つです。
- 〈海外〉Binance(バイナンス) ※おすすめ
- 〈海外〉Poloniex(ポロニエックス)
- 〈海外〉Bittrex(ビットレックス)
これら仮想通貨取引所の中でBinanceが0x(ZRX)の購入に最適と考えています。
Binanceでの購入をオススメする理由

CoinGeckoより引用
0x(ZRX)はICO終了後から1週間でウクライナ拠点の仮想通貨取引所Liqui(リクイ)に上場し、その後Poloniexに上場を決めたことでICO価格から一時12倍となりました。
そして2017年9月にBinanceに上場後、0x(ZRX)の取引高の大半はBinanceで行われています。
したがって記事執筆時点ではBinanceでの流通量が圧倒的なため、Binanceでの0x(ZRX)の購入がオススメです。
0x(ZRX/ゼロエックス)の将来性は?これから価格は上がる?

0xの時価総額は記事執筆時点で34位となっています。
2017年8月のICOから時価総額が約8倍となっており、時価総額ランキングを上げてきています。
筆者は0xはまだ時価総額ランキングを上げていくと考えていますが、その理由を3つのポイントにまとめて解説していきます。
- 中央集権型の取引所に問題があるたびにDEXの需要が増える
- イーサリアム上のDAppが増えればトークン交換の需要も増える
- DEXの「取引手数料が高い」「取引スピードが遅い」問題を解決できる
中央集権型の取引所に問題があるたびにDEXの需要が増える
仮想通貨取引所は一箇所に顧客の資産が集中しているため、ハッキングなど悪意を持った攻撃にさらされています。
コインチェックNEM流出事件は記事執筆時点ではまだ解決しておらず、記憶に新しいところです。
このような中央集権型の仮想通貨取引所が狙われる事件はこれからも増え続けると考えられます。
また中央集権型取引所の運営者による資金持ち逃げや倒産なども今後起きる可能性もあります。
そしてそのような事件が起こるたびに分散型の仮想通貨取引所(DEX)に注目が集まり、需要も増えていきます。
一方で分散型取引所であれば資金の管理は顧客自身が行うため、ハッキングによる盗難や取引所の倒産で資産喪失の心配がありません。
0xはDEXを簡単に作れる機能を提供するプロジェクトです。今後需要を増していくDEXのインフラとなる機能を提供する0xの将来性は高いと考えられます。
イーサリアム上のDAppsが増えればトークン交換の需要も増える
0xはイーサリアムのブロックチェーン上で稼働するDApp(分散型アプリケーション)内で使われる専用トークン同士を交換できるようにするプラットフォームです。
例えば分散型予測市場のAugurで使われるトークンはREPです。
しかしREPを持っていない場合は仮想通貨取引所でETHやBTCでREPを購入してから、投票などAugur内での活動にREPを使用します。
使いたいDAppがあるたびに専用のトークンを購入するというのは、ちょっと試してみたいというライトユーザーにとって面倒でハードルが高くなってしまいます。
0xのプラットフォームを導入しているDAppであれば、DAppの専用トークンを持っていなくても、持っている他のイーサリアムのDAppのトークンやETHで支払えるようになります。
イーサリアムはスマートコントラクトを導入しているDAppプラットフォームの代表的な存在であり、その実績から今後もイーサリアムのブロックチェーン上で稼働するDAppは増えていきます。
DAppが増えていくほどに0xの必要性は増し、需要も上がっていくと考えています。
DEXの「取引手数料が高い」「取引スピードが遅い」問題を解決できる
イーサリアムを利用した分散型取引所の課題としてよく挙げられるものに下記があります。
- イーサリアムのスマートコントラクトを使用するときに発生する取引手数料が高い
- イーサリアムのスマートコントラクトの利用者が増えると取引スピードが遅くなる
とくに売りや買いの注文時や注文のキャンセル、価格変更などのときにも取引手数料がかかってしまうため、中央集権型の取引所のように手軽に売買注文を出すことはできません。
0xはOff-chain Relay(オフチェーンリレイ)とOn-chain Settlement(オンチェーン決済)という仕組みを採用することで、既存の分散型取引所が抱える2つの課題を解決しようとしています。
詳しい説明は後述の「0x(ZRX/ゼロエックス)の良い点」にまとめますが、この仕組みを導入することにより
- 注文・キャンセル・価格変更時にスマートコントラクトを使用せずに済むので取引手数料が安くなる
- 最小限しかスマートコントラクトを使用せずにすむので取引スピードが向上する
ことになります。
0xはDEXの課題を解決する仕組みを持っており、需要が増えつつあるDEXを簡単つくれるプラットフォームです。
そして今後イーサリアムのDAppが増え続けると、0xプロジェクトの需要がますます上がっていくことを考慮すると、筆者は0xが時価総額ランキング10位台には入ると考えています。
0x(ZRX/ゼロエックス)とはどんな仮想通貨?
- 通貨単位はZRX
- 公開日は2017年8月11日
- 発行上限枚数は10億ZRX
- 0xの創設者はエリート研究者とトレーダー
- ERC20トークン同士を交換できる
- DEXを簡単に作ることができるプラットフォーム
- ZRXのウォレットはMEWを推奨
発行上限枚数は10億ZRX
ZRXの発行上限枚数は1,000,000,000ZRX(10億ZRX)です。
2018年5月7日時点では526,950,050ZRXが発行済となっています。
0xの創設者はエリート研究者とトレーダー
0xはWill Warren(ウィル・ウォーレン)氏とAmir Bandeali(アミル・バンディアリ)氏の2人によって設立されました。
ウォーレン氏はサンディエゴ大学で機械工学を修めたのち、Los Alamos(ロスアラモス)国立研究所で研究者として働いていました。
ロスアラモス国立研究所はアメリカのニューメキシコ州にある約1万人の研究者やエンジニアなどの所員が所属し、年間予算が20億ドル超えの世界最高の研究機関です。
バンディアリ氏はイリノイ大学でファイナンスを学んだのち、DRW社でトレーダーとして働いていました。
このような背景を持つ創設者達により0xプロジェクトは開発されています。
ERC20トークン同士を交換できる
0xはイーサリアム上で発行されるトークンの規格で最もよく使わているERC20トークン同士を、低コストで交換することができます。
DEXを簡単に作ることができるプラットフォーム
0xはDEX(分散型取引所)に必要な仕組みや機能をAPIを通して提供しています。
よく勘違いされますが0x自体はDEXではなく、DEXを簡単に作るための機能を提供するプラットフォームとなります。
また0xの仕組みを導入したいDAppsは0xの通信規格(プロトコル)に合わせて開発することで、0xの交換ネットワークに参加することができます。
ZRXのウォレットはMEWを推奨
2018年5月時点で0x公式ウォレットはありません。
ZRXはイーサリアム上で発行されたトークンですので、信頼と実績があるイーサリアム専用ウォレット「My Ether Wallet(MEW)」がオススメです。
0x(ZRX/ゼロエックス)の良い点(メリット)

手数料を抑え取引を速くするオンチェーンリレーとオンチェーン決済
0xはDEXとDApps内の簡単な決済の需要から将来性のある仮想通貨であると説明してきました。
そして0xの特徴としてDEXの「取引手数料が高い」「取引スピードが遅い」という問題を解決する仕組みを持っていることを挙げました。
その仕組み「オンチェーンリレーとオンチェーン決済」について詳しく説明していきます。
DEXの課題は注文〜決済までのすべてをスマートコントラクトを使用するので取引手数料が高く、取引速度も遅いということです。
この課題を解決するため0xは注文や価格変更、キャンセルはブロックチェーン外(オフチェーン)で行い、最終的に買いが確定したときだけスマートコントラクトを使用してブロックチェーンに記録する方法を採用しています。
その方法が「オフチェーンリレー・オンチェーン決済」となります。
下図はオフチェーンリレー・オンチェーン決済の流れを表したイメージです。

この仕組みには役割を持った3者が存在します。
- 【メーカー】トークンを販売したい人
- 【テイカー】トークンを購入したい人
- 【リレイヤー】オーダーブック(板)の管理をする人・仲介人
とくに重要な役割をするのがリレイヤーです。上の図使って注文から決済までの流れを説明していきます。
- ①リレイヤーが仲介手数料を公表
- ②メーカーが好きなリレイヤーを選び、販売したいトークンと価格や数量を登録
- ③リレイヤーはその情報をもとにオーダーブック(板)を作成
- ④テイカーはそのオーダーブックを見てトークンの購入申請
- ⑤決済内容をスマートコントラクト使用して実行・ブロックチェーンに保存
①〜④まではブロックチェーン外で行われるため、スマートコントラクトを使用せずに済み、結果として取引手数料は安くなります。
同様に最後の決済だけスマートコントラクトを使えば良いので取引速度も速くなります。
またリレイヤーは取引が成立したタイミングでメーカーとテイカーの両方からZRXで手数料をもらう仕組みとなっています。
このような仕組みを採用することで0xは既存のDEXが抱える取引手数料の高さと取引速度の遅さを解決しようとしています。
開発スピードが非常に速く1年間の開発ボリュームが仮想通貨全体で5位

CryptoMisoより引用
多くの仮想通貨やICOプロジェクトはGithubという開発ツールを使用していて、そこではソースコードが見れたり開発の進捗などが確認できたりします。
0xはそのGithub上の開発進捗の目安となるCommit(コミット)数が直近1年間で3,467件と仮想通貨全体で5番目の多さでした。
主観ではありますが0xと同時期に開始されたプロジェクトと比べて開発速度が速いと感じています。
すでに多くのDAppsが0xを利用している

0x公式サイトより引用
MAKERやaugur(オーガー)など仮想通貨時価総額ランキングでも50位以内の有名なDAppも0xをすでに採用しています。
そして採用予定として公式サイトに掲載されているDAppも15以上あるという状況です。
有力なDAppの0xの導入が続いていけば、今後イーサリアム上のDAppは0xを導入することが当たり前という状況になっていくかもしれません。
0x(ZRX/ゼロエックス)の悪い点(デメリット)
リレイヤーになることは法律的に問題となる可能性がある
各国の法律によっては個人や企業が0xを使ってリレイヤーになることは違法となるかもしれません。
リレイヤーはオーダーブック(板)を管理する役割なので、仮想通貨取引所を運営しているとみなされる可能性があります。
とくに日本の仮想通貨関連の法律は適用範囲が大きく、仮想通貨交換業の免許を取得することは上場企業の審査並に厳しいという噂もあります。
今後の仮想通貨関連法の整備次第ですが、現状とくに日本では0xでリレイヤーとなることはオススメできません。
リレイヤー間の手数料をどう分配するかの課題がある
オフチェーンリレー・オンチェーン決済の流れのイメージはだいぶ簡略化しましたが、0xは流動性を確保するためリレイヤー同士のオーダーブックを共有する仕組みを持っています。
とても複雑な仕組みで筆者もこの仕組みを完全に理解できていませんが、簡単に言うと「リレイヤーA」に売りの注文が入ったトークンを、「リレイヤーB」のオーダーブックを通して購入できるような仕組みです。
このときメーカーとテイカーはどちらのリレイヤーに取引手数料を渡せばよいのか。
これは0xコミュニティでも議論されている内容ですが、リレイヤー間同士を繋げることは流動性を増やすためには必須です。
この課題を解決できなかったり、解決できたとしても手数料が割高になってしまったりすると0xの普及の足を引っ張ることになると考えています。
最終的にはイーサリアムのトランザクション処理能力に影響される
イーサリアムのトランザクション処理能力は秒間15件前後となっています。
オフチェーンリレー・オンチェーン決済の仕組みを使ってスマートコントラクトの使用を最小限に抑えることができますが、イーサリアムに秒間15件以上のトランザクションが集中しているときは0xを使用していても取引に遅延は発生します。
最終的にイーサリアムの処理能力に影響されてしまうことに注意が必要です。
例えば「商品を渡して代金をもらう」というここからここまではセットとなる分割できない一連の処理単位をトランザクションと呼びます。
ZRXの価格が高くなっていくと手数料も高くなるのではないか
0xは時価総額とともに1枚あたりの価格も高くなっていますが、今後もっと0xの価格が上がった時に取引手数料が高くなってしまうのではないか?という意見が出ています。
しかしこれについてはリレイヤーが増えていけば競争が激しくなり、リレイヤーが公表する手数料も安くなっていくと考えられるため、リレイヤーが増えていけば解決できる課題だと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
0xは通信規格(プロトコル)でありDEX開設のためのプラットフォームであったりと、目に見えるサービスがないのでわかりづらい仮想通貨かもしれませんが、今後のDEXやDAppsの課題を解決する優秀なプロジェクトです。
ぜひ今後も情報をチェックしてもらえればと思います。それでは!